すべての山に登れ 戦闘系ワーママのWLB日記(側弯症の子と家族と仕事と私)

パワハラやマタハラなんて概念もない時代から、妊娠・出産・育児(現在進行形)を何とか乗り切って生きてきた、周回遅れのオバサン管理職。
子育てもひと段落し、ほっとしたところで判明した、子どもの病気=特発性脊柱側弯症。
病気の進行&手術&看病そして成長の記録や、「子育て」+「子どもの病気&看病」を中心に「そんな状況でまだ働くの?」という邪気のない問いにより気づかされた「WLB」という名の無間地獄まで、幅広く繰り広げられる各方面との戦いの日々を、思いつくままに書いていきます。

医療者は患者の生活まで考慮しない(当然なのか?)

「ポチ」との楽しい生活にも慣れた長女ですが、実際生活するにあたり、医師や看護師など「医療サイドの人」の指示が「いかに現実離れしているか」ということについて、個人的なな見解を我が家のエピソードも添えつつ記載します。医療者の方に若干の注文付きですがご容赦ください。


「23時間装具をつけてください」
  →かなり無理です。
   実際できているご家庭もあるので、うちが怠慢だと言われればそれまでですが、
   なぜ無理なのか以下に記します。


   1 23時間拘束されても平気なほど、人間のフィジカルもメンタルも強くない
   
 (病気の重症度、親の強権発動などで無理を無理やりクリアできる場合もある)
   
   2 学校生活を乗り切れない
   
 (1)体育の着替えでいちいち装具着脱
    着脱には責任のとれる大人(着脱法を習得した教師等)の協力が必要。
    なお、体育の前後に移動教室というオプションがあると「科目遅刻」多発。
    当然内申低下、進路が残念なことに。
    (これは、教師の協力+保護者が学校常時つきそう、
     内申や進路については諦めるか、遅刻なんぞではびくともしない程の特技や
     テストの出来がいいなどの条件でクリアできる場合もある)


    (2)長時間椅子に座るのが苦痛
     座っていると足の付け根に装具が食い込む→相当痛い※個人差あり
    (これは、座り方を工夫したり、保健室の有効利用でクリアできる場合もある)
   
    (3)部活ができない
     我が家は帰宅部だったので何の問題もありませんでしたが…
     体育会系の部活は論外として、器楽や合唱など、体を大きく使う部活も、
     案外できないものです。
     部活が楽しみで学校に行っているというお子さんの場合は辛いでしょう。
     (これは、部活顧問が装具の着脱をしてくれるか、
      保護者が部活が終わるまで本人に付き添えばクリアできる場合もある)



   3 習い事ができない
    ええ、やめればいいんですよ。習い事ですから。
    ただ、習い事が本人の生きがいだった場合、そんなに簡単に奪えますか?
    そして、日々の練習が必要な技術に、ブランクを作る意味がわかりますか?
    体育系だけではなく、ピアノやバイオリンなど、体幹を使う文化系習い事も、
    装具をつけてはできません。
    習字やそろばんも、2(2)と同じ理由できつくなります。
   (これは、習い事の先生が装具の着脱をしてくれるか、
      保護者が習い事が終わるまで本人に付き添えばクリアできる場合もある)


  4 2と3をクリアしても、結局装具を脱いでいるので、23時間装着は無理
  
   
以上です。


実際は、患者・家族・主治医が症状と生活状況を合わせ、本人の負担が少なく、効果も期待できそうな装着方法を検討して決めていく場合が多いのではと推測します。


実際我が家の場合、
☆23時間は無理☆
 理由:本人が装具をつけて外出するのを拒否するから
    下校時に親が家にいないから(婆の腕力では着脱不可能でした)
 対応:早めに入浴→親帰宅→装具着用→翌朝の登校着替え時に装具を脱ぐ
   (大体12時間装具着用)
 リスク:装具着用時間が短いので、手術の可能性が大きくなる。
     手術も難しくなる可能性が高い。


幸いにも長女の主治医は、装具治療にあたり、患者の生活面を気にかけてくださる先生で、受診時には必ず、生活状況や苦労していることはないかなどを聞いてくださり、装着時間を長くするにはどうしたらいいかなど、本人や親が困っていることを一緒に考えてくれ、装具の修正や治療方針など、的確にご指示いただきました。本当にありがたかったです。


一方で、「医療者は治療を考えれていればよろしい。生活のこと?なにそれ」という感じの医療者も、少数ですが存在しました。


装具をつけて生活するにあたり具体的な質問(例:トイレはどうやっていけばいいんですか?)をしても一切答えられなかったり、
「とにかく23時間つけることが原則ですから」「部活の発表会?(苦笑)」という発言をする医療者もいました。
こんな時には、医療から見放されたような、ものすごく悪いことをしているような気分になり、大変悲しく思いました。


以前より仕事を通じて疑問に思っていた「医療」と「生活」の間にあるギャップ。
今回長女の病気を通して、痛感した次第です。


誰のために、何のために、どこに目標を置いて治療をしていくのか。


医療者と患者・家族の思いが少しずつでもずれていくと、最終的に患者は「よくならない」ということも起こり得ると思います。


医療者である以上、まずは医療に専念することが第一であると理解しています。
ですが、一歩病院を出れば、患者や家族には長い長い「暮らし」が待っています。
医療者の皆様には、どうかそのことを少しでも念頭に置いていただけたらと願っています。